ふるさと発見! 江戸川乱歩 【三重の偉人を訪ねてみよう】

名張市ってどんな街?

三重県西部、伊賀市の隣にある名張市は、
古くは「」と書いて「なばり」と読み、忍者の修行地として開拓されました。
かつて琵琶湖の底にあったこの盆地の街は、伊勢詣に向かうための宿場町としての役割や、関西方面のベッドタウンとして発展してきた歴史もあり、今と昔が混じりあう街並みが特徴的です

今回は、そんな名張の日常に、さらっと溶け込む歴史に触れていきましょうか。

まずは、名張駅前の銅像をご覧あれ!

最近マスクをされるようになりました

悪書追放ポストの対面で出迎えるは江戸川乱歩像
何気なく通り過ぎる方も多いのですが、時折皮肉の効きすぎた光景におののく方も。
今では信じられないことですが、かつて、小説を読むと馬鹿になると言われた時代がありました。
自著を良くないものにカテゴライズされてしまった乱歩は、作品を守るため、権威付けが必要と考え、社団法人日本推理作家協会を結成されておられます。
小説の地位向上に努めた彼が見つめる先を、乱歩の足元に腰掛けて眺めてみるのもよろしいかと。

そもそも何故、江戸川乱歩乱歩の像が駅前にあるの?

実は名張は、江戸川乱歩の生誕地でもあるのです。
とはいえ、乱歩が滞在したのは生後7~8ヶ月のこと。
父親の転勤ですぐに引っ越した乱歩にとって、名張の地は長らく「見知らぬふるさと」であり続けました。
東京で探偵作家となった乱歩とこの地が再び交わるのは、晩年になってからのこと
ふるさとから熱烈な歓迎を受けたこの時の様子を詳しく知りたい方は、乱歩の随筆「ふるさと発見記」をご覧になってくださいな。

乱歩に纏わる名張のスポット

名張観光案内所

出典:公式HPより

最近リニューアルされた名張駅西口にある観光案内所。こちらでは現在、名張でお菓子屋さん巡りのマップがいただけます。
二銭銅貨と引き換えに、市内を巡っておもちゃの紙幣……ではなく、お菓子や神社の参拝記念カードを集めるイベントです。
また乱歩を題材にしたお菓子の詰め合わせが買えるのもこちらです! レンタサイクルの取り扱いもありますよ。

宇流冨志禰神社
駅から南にある横断歩道か歩道橋を渡り、連なる塀と踏切を越えた先、のどかな風景の中に、こんもりと茂る森が現れます。

乱歩が終生の恩人と慕う、川崎克の次男が選挙に出馬するにあたり、応援演説をしたのがこちらの神社。
宇流冨志禰神社の主祭神は宇奈根命(うなねのみこと)
「潤うふし水」という語源が元とも伝えられる神社は、天正伊賀の乱で織田軍から焼き討ちの憂き目にあったことも。
うねる水の流れに身を任せるように、
さりさりと沈む砂を踏みしめて、
からからと鈴を鳴らして、
水と穀物の神様に挨拶しましょうか。

水を祀る神社ならではの手水舎
雨に濡れた石段

文人ゆかりの館清風亭

出典:まちかど博物館より

宇流冨志禰神社から名張川を左手に、まずは鍛冶町橋の方を目指して西に向かいます。心地よい風が川から吹き抜ける道には文人ゆかりの館清風亭が。近くには蛭子神社などもあるので立ち寄ってもよろしいかと。晩年の乱歩がよく通い、また乱歩を慕う文人たちが集ったという清風亭。乱歩が好んで食したのは鯉こく。うなぎ料理が美味しいところでもあります。

江戸川乱歩生誕地碑広場
初瀬街道を更に西に進むと、古風な街並みの中に記念碑の道標がぽつりぽつりと点在しています。
周囲にはお寺や神社も多く、通りをひとつ違えるだけで、まったく違う風景が目の前に広がることでしょう。
生誕地碑広場にはひやわいと呼ばれる狭い路地を通っていきます。
「ほんとにここ?」と不安になられる方もおられましょうが、
幽世へと続く道を歩いているような不思議な感覚が味わえます。
……無事に辿りつけそうですか?

生誕地碑に続くひやわい
江戸川乱歩生誕碑

旅のおわりに

さて、では駅前に戻りつつ、旧街の風景を楽しみましょうか。
ほどなく乱歩の名を冠した居酒屋や、想を得た料理のメニューが描かれた看板がいくつかみつかることでしょう。
乱歩の帰郷が叶う前、彼は一度、旅の途中に名張駅で降りてみたことがあるそうです。
訪ねる知り合いもなく、ただ歩き回るのみだったと伝わる乱歩。
現在の名張の姿。かつての面影を残す街。
彼の足跡を辿って、記憶に触れれば。
きっとあなたの視界は乱歩のいた時代を巡り、同時に乱歩は現代の街に遊ぶことでしょう。

もっと深く知りたくなった方へ

名張市立図書館

出典:公式HPより

平尾の丘の上にある図書館には江戸川乱歩コーナーがあり、幻影城の模型や、数々の資料などが収集、展示されています。
乱歩の著書も多数収蔵されており、
図書館のサイトから本を予約することもできます。

夏休みの自由研究に。
聖地巡礼に。
夕涼みの散歩に。

江戸川乱歩の生誕地、名張を巡ってみませんか?

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この記事を書いた人

葉森 千仁

葉森 千仁

生まれも育ちも三重県の、小説家志望のwebライター。 ハイカル、サブカル問わず『物語』が好き。 民間伝承や口伝、今を生きる人の紡いでいくお噺を、街歩きしながらお届けしますね!

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