高校受験は人生のターニングポイントの1つです。進学先に悩んでいる方も多いのではないでしょうか。もし、三重県内で進学先に迷っているのであれば、工業高等専門学校や商船高等専門学校を選択肢の1つとして考えてみてください。なぜなら、高専や商船には一般の高校にはない魅力が数多くあるからです。
本記事では、三重県の高専・商船の魅力について解説します。進学先に迷っている方は、ぜひ参考にしてみてください。
三重県にある高専・商船とは?
三重県には「鈴鹿工業高等専門学校」と「鳥羽商船高等専門学校」があります。実は全国的にみても、高専が1つの県に2つ以上存在するのは珍しいです。特に商船学科がある鳥羽商船は、船に関する専門的な知識を学べる貴重な学校となっています。
高専とは一般的に「世界で活躍できるエンジニアを育成する学校」という存在です。「鳥羽商船は船について学ぶのでは?」と思う方もいるかもしれませんが、学科によって学ぶ学問は異なります。鳥羽商船であってもエンジニアとしての知識を身につけることは可能です。
そのため、一般的な高校とはカリキュラムが大きく違うという特徴があります。高校と高専は仕組みも勉強する内容も大きく異なると考えておきましょう。
高専(商船)に進学するメリット

高専(商船)に進学するメリットは数多くあります。ここでは、一般的な高校と比較して、高専に進学するメリットを紹介します。進学先に悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
5年間の一貫教育で専門性を高められる
高専は中学校卒業後に入学し、5年間を通じて専門的な教育を受けられるのが大きな特徴です。大学の工学部で学ぶ内容を、より実践的に早い段階から習得できます。基礎から応用まで段階的に学べるため、専門性を高めたい学生にとっては理想的な教育環境が整っているといえるでしょう。
就職先が幅広く就職しやすい
高専卒業生は即戦力としての評価が高く、就職率は全国的に見ても高水準です。大手メーカーへの就職も比較的容易であり、就職活動に苦しむケースはほとんどありません。実際に1社しか面接を受けることなく、就職先が決まったという学生も数多く存在します。
有名大学に入っても就職活動に苦しむケースは多いです。納得のいく企業に入社できるとは限りません。希望する就職先に入りやすいのは、高専ならではのメリットといえるでしょう。
大学への編入もできる
高専は5年で卒業してから就職するだけでなく、大学に編入するという選択肢もあります。基本的には大学の3年次に編入することになり、引き続き専門的な知識について学びを深めることが可能です。
高専から大学に編入するメリットは、国立大学を複数受験できる点にあります。そのため、国立大学への進学が成功するケースは多く、一般高校から大学に行くよりも苦労しない可能性もあります。もちろん、編入試験は簡単ではありませんが、きちんと勉強すれば国立大学への進学は十分に可能といえるでしょう。
実習や実験が豊富にある
高専では実験・実習がカリキュラムに多く組み込まれており、知識だけでなくスキルを磨けます。高専で培ったスキルを活かして、在学中に電気工事士のような資格を取得することも可能です。生涯役立つスキルを在学中に取得できるのは、高専ならではのメリットといえるでしょう。
学費が比較的安い
大学と比べて学費が比較的安いのも高専のメリットです。成績優秀者への授業料免除制度や各種奨学金制度も用意されているため、経済的な負担を抑えながら専門教育を受けられます。
もちろん、公立高校であれば学費を抑えることは可能でしょう。しかし、公立高校から進学するのであれば、予備校や塾に通ったりする必要があるかもしれません。浪人する場合や私立大学へ進学するケースなどを考えると、高専に通った方がトータルの学費は少なくなる場合が多いです。
経済的に苦しいと考えている家庭こそ、高専への進学を視野に入れた方が良いといえるでしょう。
エンジニアとして働くメリット
高専の魅力は数多くありますが、まとめると「エンジニアとして活躍しやすい」という点に集約されます。しかし、そもそもエンジニアとして働くメリットがわからないという方もいるのではないでしょうか。ここでは、エンジニアとして働くメリットについて詳しく解説します。
生涯活躍できるスキルが身に付く
エンジニアとして働く最大の魅力は、一度身につけた知識や技術が長期的に活かせる点です。プログラミングや設計のスキルはもちろん、問題解決力や論理的思考力といった基盤的な力も磨かれます。これらは一度身に付けると職場や業界が変わっても通用しやすく、生涯を通じて強みとなる財産になります。
就職先や転職先に困りづらい
エンジニアは需要が高く、就職や転職の際に有利に働きやすい職業です。特に情報技術や製造業、インフラ整備といった分野は常に人材不足が指摘されており、スキルを持つ人材は引く手あまたです。そのため、自分に合った環境を選びやすく、ライフスタイルや価値観に応じて働き方を調整しやすいというメリットがあります。
活躍の幅を世界に広げることもできる
エンジニアのスキルは日本国内だけでなく、海外でも通用します。グローバルに展開している企業では、語学力を組み合わせることで海外プロジェクトに携わるチャンスもあります。世界共通の技術を扱う職種だからこそ、国境を越えて活躍できる可能性を秘めているのがエンジニアという仕事です。
独立や起業がしやすい
エンジニアとして実務経験を積むことで、独立や起業を目指すことも可能です。特にITやソフトウェア開発の分野では、フリーランスとしてプロジェクト単位で仕事を受けたり、自分でサービスを立ち上げたりする人も多くいます。必要な機材や資金が比較的少なくて済む場合もあり、キャリアの先に「自分の会社を持つ」という選択肢があるのは大きな魅力といえるでしょう。
高専(商船)に進学する際の注意点

高専や商船は魅力的な環境です。将来のことを考えるのであれば、高専や商船に通って早い段階からスキルを身につけておくというのは、理想的な選択肢といえるでしょう。しかし、注意しなければいけない点もあります。
それは専門的な分野に馴染めるかという点です。例えば、電気系の学科に入学したとしても、電気系の勉強や技術に興味が湧かず、学生生活が苦痛になってしまうというケースがあります。
一般高校であれば、大学に入学するまでに学びたい学問をじっくりと決めることができます。しかし、高専に入学する場合は、中学の時点で学びたい分野についてある程度決めておかなければいけません。そして一度選んだ後に、軌道修正をするのは難しいのが実情です。
そのため、中学生の時点でエンジニアに対して強い興味があるのであれば、高専へ入学しても後悔しづらいといえるでしょう。一方で、エンジニアへの興味が弱いまま高専への入学を決めてしまうと、後悔する結果になるかもしれません。
興味がある学問や将来どのように働きたいかをしっかりと考えた上で、高専へ進学するべきかどうかを判断することが大切です。
三重県で高専に通うメリットは多い
高専に通うメリットは数多くありますが、実は三重県ならではのメリットもあります。将来的に地元である三重県の企業に就職したいと考えている方は多いでしょう。そういった方は、高専に進学するのがおすすめです。
なぜなら三重県は四日市市を中心に全国的にも有名な工業地帯だからです。そのため、高専から三重県内の企業に就職するケースは非常に多く、実家から会社に通える場合もあります。
もちろん、大学から就職する場合でも、地元で働くことは可能です。しかし、地元で働きたいと思って就職したのに別の地方に配属されるケースは少なくありません。高専からの就職であれば、地元で働けるケースが多いです。
そのため、地元である三重県でずっと生活をし続けたいと考えている方には、高専という選択肢はおすすめといえるでしょう。
高専の学科選びにおいてチェックするべきポイント
高専に進学したいけれど、どの学科が自分に合っているかわからないと悩んでいる方もいるのではないでしょうか。ここでは、高専の学科選びにおいてチェックするべきポイントを紹介します。高専の学科選びに悩んでいる方は、ぜひ参考にしてみてください。
自分の興味や関心に合っているか
学科を選ぶ上で最も大切なのは、自分が本当に興味を持てる分野かどうかです。例えば「機械を動かすのが好き」「プログラミングに興味がある」「船や海洋の仕事に携わりたい」といった気持ちがあるなら、その関心に合った学科を選ぶことでモチベーションを維持しやすくなります。興味のない分野を選んでしまうと、学習が苦痛に感じられる可能性があるので注意が必要です。
卒業後の進路との相性
高専卒業後は「就職」と「進学」の2つの道があります。就職を目指すなら、地元企業や希望する業界で需要の高い学科を選ぶのがおすすめです。一方、大学への編入を視野に入れている場合は、大学で学びたい専門分野にスムーズに進める学科を選ぶことが大切です。卒業後の進路と学科の内容を照らし合わせて検討しましょう。
実習・研究内容が自分に合うか
高専の大きな魅力は、実習や研究を通じて実践的に学べる点です。ただし、学科ごとに取り組む実習内容は大きく異なります。機械系なら工作や設計、電気系なら回路やロボット制御、商船系なら航海実習や船舶機関の操作といった具合に、実際の学習内容を確認しておくことが重要です。「手を動かす作業が好きか」「理論を掘り下げたいか」など、自分の性格とも照らし合わせましょう。
資格取得やキャリアに有利かどうか
学科によっては、在学中に国家資格や専門資格を取得できるカリキュラムが組み込まれています。例えば、電気系なら電気工事士、情報系なら基本情報技術者試験など、資格取得がその後のキャリアに直結するケースも少なくありません。資格取得の機会が多い学科を選ぶと、卒業後の就職や独立に有利になります。
自分のライフスタイルに合うか
学科選びでは、将来の働き方やライフスタイルも視野に入れると良いでしょう。例えば、船舶関連の仕事は海外航路や長期間の出張が発生することもあります。一方、情報系のエンジニアであれば、在宅勤務やフリーランスとしての働き方も選択肢に入ります。「どんな働き方をしたいか」を想像し、それに合った学科を検討するのもおすすめの方法です。
三重県の高専・商船は将来の選択肢を大きく広げてくれる
三重県には全国的にも珍しい「2つの高専」があり、工業系に特化した鈴鹿高専と、商船分野を含む鳥羽商船があります。いずれも一般的な高校とは異なるカリキュラムを持ち、5年間の一貫教育を通じて高い専門性を身につけられるのが大きな魅力です。
高専を選ぶことで、大学に進学する前から実践的なスキルを学べるだけでなく、就職でも高い評価を受けやすく、将来の進路に幅広い可能性が開かれます。さらに、地元の三重県は工業地帯としても有名であり、地元企業に就職しやすい環境が整っているのも大きな強みといえるでしょう。
もちろん、専門的な分野に興味が持てるかどうかという点は重要です。エンジニアを目指す強い気持ちや、自分に合った学科を選ぶための慎重な判断が必要になります。
高校受験を控えた中学生にとって、高専・商船は「早くから専門性を身につけられる進路」であり、将来を見据えた魅力的な選択肢のひとつです。地元で活躍したい人、エンジニアとして世界に挑戦したい人、どちらにとっても三重県の高専は大きな可能性を秘めた進学先といえるでしょう。

