三重県四日市市には、四日市港の歴史を感じられるスポットがいくつかあります。その中でも、稲葉三右衛門の功績を伝える場所として存在しているのが「稲葉翁記念公園」です。
稲葉翁記念公園は、大型遊具がある公園や、観光客でにぎわう有名スポットとは少し違います。どちらかというと、四日市旧港の空気を感じながら、四日市港がどのように発展してきたのかを知ることができる場所です。
実際に訪れてみると、公園自体は決して広くありません。しかし、海が近く、風が心地良く、街中の公園とは違った開放感があります。稲葉三右衛門や潮吹き防波堤について少し知ってから訪れると、何気ない景色の見え方も変わってくるように感じました。
本記事では、稲葉翁記念公園の見どころやアクセス、実際に訪れてみた感想について紹介します。四日市港の歴史に興味がある方はもちろん、四日市市内で少し変わった散策スポットを探している方も、ぜひ参考にしてみてください。
稲葉翁記念公園とは?

稲葉翁記念公園とは、三重県四日市市の旧港エリアにある公園です。四日市港の発展に大きく貢献した稲葉三右衛門の功績を伝える場所として整備されているのが特徴です。現地にある看板などからは稲葉三右衛門の功績を学ぶことができます。
稲葉三右衛門の功績を知ったうえで歩くと、四日市港の見え方も変わってくるかもしれません。四日市市の産業や港の歴史に興味がある方にとって、稲葉翁記念公園は魅力的なスポットといえるでしょう。
稲葉翁記念公園の見どころ
稲葉翁記念公園は、四日市港の成り立ちを学べる見どころが数多くあります。ここでは、稲葉翁記念公園の見どころについて紹介します。
潮吹き防波堤のレプリカ

稲葉翁記念公園でまず注目したいのが、潮吹き防波堤のレプリカです。潮吹き防波堤は、四日市港の歴史を語るうえで欠かせない構造物ですが、実物だけを見ても、仕組みや構造はわかりづらいですよね。
レプリカを見ることで、潮吹き防波堤がどのような形をしているのか、どのような役割を持っていたのかを理解しやすくなります。四日市港が発展していく過程では、波や土砂の影響を抑え、船が利用しやすい港をつくることが重要でした。潮吹き防波堤のレプリカは、そうした港づくりの工夫を知るきっかけとなるでしょう。
また、レプリカを先に見てから本物の潮吹き防波堤を見ると、構造や役割をより意識しながら見学できます。稲葉翁記念公園を訪れる際は、単に展示物として眺めるだけでなく、四日市港に込められた工夫を感じながら見るとよいでしょう。
本物の潮吹き防波堤
稲葉翁記念公園周辺で見逃せないのが、本物の潮吹き防波堤です。潮吹き防波堤は、四日市港の発展を支えてきた歴史的な施設であり、現在も四日市旧港エリアの重要な見どころとなっています。
本物の潮吹き防波堤を見ると、当時の港づくりがいかに大がかりなものであったかを感じられます。現代の施設と比べると素朴に見える部分もありますが、地域の産業や物流を支えるために整備された構造物という歴史は伝わってきます。
現在は防波堤の役割を果たしてはいませんが、世界的にも貴重な存在であるのは間違いありません。どういった構造になっているのかを考えながらチェックすると、より四日市港に対する理解を深められるでしょう。
大量の牡蠣殻
稲葉翁記念公園周辺では、大量の牡蠣殻にも注目したいところです。工業都市としての四日市だけでなく、海に面した港町としての四日市の一面を知るきっかけにもなるでしょう。
また、潮吹き防波堤や旧港周辺の構造物とあわせて見ることで、四日市港が自然環境の中に築かれてきたことも実感できます。稲葉翁記念公園を訪れる際は、記念碑や防波堤だけでなく、周囲の足元や海辺の風景にも目を向けてみてください。
稲葉翁記念公園へのアクセス
稲葉翁記念公園(三重県四日市市高砂町7)へアクセスする際は、公共交通機関を使うのであれば、JR四日市駅から歩いて行くのが一般的です。しかし、JR四日市駅から稲葉翁記念公園へは徒歩でも15分以上かかります。信号も多いため、移動にはさらに時間がかかるかもしれません。
そのため、体力に自身がない方はタクシーを活用しましょう。また、こにゅうどうレンタサイクルを活用するのもおすすめです。こにゅうどうレンタサイクルは、JR四日市駅で自転車をレンタルすることができるサービスで、電動自転車を借りることも可能です。そのため、体力に自信がない方でも快適に稲葉翁記念公園へアクセスできるでしょう。
実際に私も自転車で稲葉翁記念公園へ訪れたのですが、体力的な負担はそこまで大きくありませんでした。むしろ、風が心地良くサイクリング先としても魅力的と感じました。
そもそも稲葉三右衛門とは?
稲葉三右衛門は、四日市港の近代化に大きく貢献した人物です。1837年に美濃国高須、現在の岐阜県海津市付近の豪商・吉田家の六男として生まれ、のちに四日市で廻船業を営んでいた稲葉家を継ぎました。四日市港に関わる前から海運や物流と関係の深い立場にあり、港の重要性を理解していた人物といえます。
稲葉三右衛門が四日市港の改修に着手したのは30代半ばの頃です。当時の四日市港は、現在のように整備された近代港湾ではなく、物流拠点として発展していくには港の改修が必要な状態でした。稲葉三右衛門は私財を投じ、長い年月をかけて港の整備に取り組みました。資金調達の行き詰まりや請負先の倒産など、事業は何度も困難に直面しましたが、最終的に明治17年(1884年)に旧港の竣工を迎えました。
稲葉翁記念公園は、四日市港を修築した稲葉三右衛門の偉業を記念し、旧港の岸壁近くに作られた公園です。つまり、稲葉三右衛門は単に港の整備に関わった人物ではなく、四日市港が近代港湾として発展していく土台を築いた人物です。
四日市港は、明治15年に近代港湾としての形を整えました。その後、災害によって破損したため、明治26年から27年にかけて改修工事が行われ、現在見られる防波堤と西防波堤が完成しました。また、明治37年には、私財を投じて築港に貢献した稲葉三右衛門の功績をたたえる顕彰碑が作られています。稲葉三右衛門は、四日市港の発展を語るうえで欠かせない人物といえるでしょう。
稲葉翁記念公園に実際に訪れてみた感想

私は実際に稲葉翁記念公園に足を運んでみました。実際に訪れてみないとわからない魅力や、注意しなければいけないポイントがあったので、詳しく解説します。
風が心地良く、自然をゆったりと感じられる
稲葉翁記念公園で印象的だったのは、風の心地良さです。海が近いこともあり、街中の公園とは少し違った空気を感じられます。強い日差しの日でも、風が抜けるとかなり気持ちよく、ただベンチに座っているだけでもゆったり過ごせる場所だと思いました。
公園そのものは大きくありませんが、周辺に海や港の雰囲気があるため、開放感があります。四日市というと工業地帯や駅前のイメージが強い方も多いかもしれませんが、稲葉翁記念公園周辺には、港町としての四日市らしさが残っています。
個人的には、何か目的を持って急いで見るというより、少し時間を取って風を感じながら歩くのが合っている場所だと感じました。歴史を感じられるスポットではありますが、難しく考えすぎず、旧港の空気を味わうだけでも十分楽しめます。
公園は広くはないものの、小さな子供なら十分に楽しめる
稲葉翁記念公園は、広い公園ではありません。そのため、小学生以上の子供が思い切り走り回ったり、長時間遊んだりする場所として考えると、少し物足りなく感じるかもしれません。
ただ、小さな子供であれば、ちょっと歩いたり、ベンチ周辺で休憩したりするだけでも十分楽しめると思います。特に海を見ながら公園で遊べるというのは、他の公園にはない魅力のように思えました。
また、広すぎないからこそ、子供の様子を見守りやすいのも良いポイントです。大型公園のようにどこかへ走って行ってしまう心配が少ないため、短い時間だけ遊ばせるにはちょうどいい場所といえるでしょう。
近くに海があるため、子供を遊ばせる際は注意が必要
一方で、子供を連れて訪れる場合は、海が近い点に注意が必要です。稲葉翁記念公園は当然ですが、水辺が近くにあります。公園内だけを見ていると穏やかな場所に感じますが、子供が走って移動すると危ない場所に近づいてしまう可能性もあります。
特に小さな子供は、興味のあるものを見つけると急に走り出すことがあります。海や防波堤周辺に近づく際は、必ず大人がそばで見守ることが大切です。間違っても水辺に近づけることがないようにしましょう。
稲葉翁記念公園は四日市旧港の空気を感じられるスポット
稲葉翁記念公園は、四日市港の発展に貢献した稲葉三右衛門の功績を伝える記念公園です。派手な観光地ではありませんが、潮吹き防波堤のレプリカや本物の潮吹き防波堤、旧港エリアの雰囲気を通して、四日市港の歴史を身近に感じられる場所です。
また、小さな子供であれば短時間遊ぶこともできますが、近くに海があるため注意は必要です。子供を連れて訪れる場合は、遊ばせる場所というより、一緒に散歩しながら立ち寄る場所として考えた方がよいでしょう。
稲葉翁記念公園は、四日市の歴史や港町としての一面を知りたい方におすすめのスポットです。四日市旧港周辺を歩く機会がある方は、立ち寄ってみてはいかがでしょうか。






