人手不足を解消する!【地元企業】が【若手人材】を獲得する方法
人口減少や少子高齢化が進む中、都市部への人の一極集中は相変わらずです。
地方の中小企業が人材を獲得するのは難しく、今後長期的な働き手となる若手人材に限っていえばさらに獲得が難しくなっています。
三重県内の中小企業においても若手人材の獲得に苦戦している企業が多いのではないでしょうか?
若手人材を獲得するには、採用活動にコストを掛けることや都市部の求職者にも訴求できる採用活動を行うこと、働き手の視点に立った働きやすい職場づくりや働きたくなる職場づくりが大切です。
本記事では、地元企業が人手不足を解消するために若手人材を獲得する方法について解説しています。
人材確保に悩む中小企業経営者の方や採用担当者の方はぜひお読みください。
若手の人材不足に悩む地方企業
若年層の都市部への流出は地方企業が抱える問題です。
少子化に加え、進学や就職を機に都市部に流出する若年層が多く、若手人材を獲得したい企業にとっては痛手となっています。
数少ない若年層は、地方でも人気企業に求人への応募が集中しがちで、地方の中小企業にとっては人材獲得が課題です。
中小企業基盤整備機構が「中小機構メルマガ会員(中小企業経営者等)」に行ったアンケート調査では、「人手不足を感じている」と回答した企業が73.7%でした。
7割以上の中小企業が人手不足を実感していることが分かります。
ただでさえ人手不足という課題を抱える中小企業において、地方の中小企業は重要な働き手である若手人材の獲得が難しいという、さらなる課題を抱えることになっています。
出典:中小企業基盤整備機構 広報統括室|中小企業アンケート調査報告 「人手不足に関する中小企業への影響と対応状況」
都市部への人口流出ー三重県の場合ー
「みえ県民ビジョン・第三次行動計画 第3編」の地方創生の実現に向けて」の中にある調査結果によると、三重県内の15歳〜29歳の若手人口は、転出超過数の6割を占めています。
県の施策により縮小傾向にあるものの、依然として若者の転出超過数の割合は高いものです。
大学に進学した県内高校卒業生のうち8割は県外の大学に進学します。
そのまま県外で就職する若者も多くいます。
出典:三重県「みえ県民ビジョン・第三次行動計画」第3編|地方創生の実現に向けて
少ない母数を、県内に数多くある企業が獲得するとなれば競争率は激化し、人気企業でなければ求人に応募が集まらないということになります。
若手人材を獲得できない理由
地方企業が若手人材を獲得できない理由は何でしょうか?
考えられる理由について解説します。
知名度が低い
地方の中小企業は「知名度が低い」ということがあります。
若者の応募は名前を知っている企業に人気が集中しがちです。
企業のことを知らなければ応募にいたることもないため、人材は思うように集まりません。
採用活動にコストをかけていない
求人広告を掲載するためのコストをかけられないと考える中小企業があります。
人材を求めていることを広く認知しなければ応募は望めません。
特に若者は大手企業を中心に認知を広げていくため、求人サイトや採用ページなどを掲載していない企業は選択肢に入ってきません。
広く認知するほど優秀な人材からの応募の可能性も広がります。
人件費にお金をかけない
企業は人の定着をはかる努力が必要です。
「経営をタイトにしたい」という気持ちから賃金アップをしないなど、利益の還元を行わない企業方針は応募意欲を低くします。
近年では、転職することに対するハードルは非常に低くなっています。
労働者はより良い労働条件で働ける企業があればすぐに行動に移します。
逆に中小企業であっても人を大切にし人件費を充実させていれば人は集まり、定着率も高くなります。
若い人材を獲得したいと考える企業は多いため、賃金を含めた労働条件の良い企業から優秀な人材を獲得していきます。
よい人材が集まれば企業の経営もプラスに移行するので企業にとってプラスになると考え、人件費への投資を積極的に行いましょう。
若手人材を獲得する方法 ー採用活動編ー
若手人材を獲得するには、採用活動での工夫が大きなポイントになります。
本項では若手人材を獲得するための方法について解説します。
掲載する求人媒体の再考
若手の人材確保を狙うなら、求人は紙媒体だけでなくWeb上の転職サイトに掲載しましょう。
若い人は、就職や転職を考えたらまず就職や転職に関するサイトをチェックして情報を集めます。
ここで求職者に認知してもらうことが大切です。
都市部の学生・UIJターンを狙う
若手の優秀な人材を獲得するには、地元だけに向けた採用活動では足りません。
都市部に流出した地元出身の若者やIターンJターン転職を考える若者に認知されるよう採用活動を行うべきです。
求人広告は広く認知できるようweb上のサイトに掲載し、自社のサイトや採用サイトに誘導できるような形にするのが理想的です。
コーポレートサイト(企業のサイト)の充実
自社のサイトは充実したページ内容でしょうか?
頻繁に更新し、最新の企業情報を掲載しているでしょうか?
自社に魅力を感じて応募してもらうためには、コーポレートサイトの充実を図ることです。
若い求職者に限ったことではありませんが、就職や転職を考える際、めぼしい企業があれば求職者はコーポレートサイトを閲覧します。
サイトを閲覧して事業内容を研究することはもちろん、企業風土などを感じ取ります。
このサイトが初期に作ったまま何も更新されていないようなものだと、企業の魅力は伝わりません。
企業としての信頼度も下がります。
コーポレートサイトの拡充はぜひ積極的に取り組みましょう。
オンラインの会社説明会の実施
地元に住む若者だけでなく都市部に住む若手人材からの応募も募るため、オンライン説明会を開催しましょう。
自社独自の説明会でも構いませんが、大手転職サイトが開催する合同会社説明会に参加するのもよいでしょう。
ー三重県主催のイベントもチェック!ー
三重県ではUIターン就職に関する各種セミナーや合同企業説明会を随時実施しています。
会場に赴く形式の他にオンラインでも参加できるハイブリッド形式で開催しているイベントもあります。
都市部の求職者を募るイベントが多くあるので、そこに出展することで求職者に広く認知することができます。
また、三重県内のサイトでUIJターンを促すサイトもあります。
複数に登録しておくことで三重県内に移住し転職を考える人にアピールしていきましょう。
オンラインを使った選考
遠方に住む求職者も選考に参加しやすいよう、面接はオンラインも可能としましょう。
オンラインで面接や会議を行う体制を整えることは、採用活動のみならず必要になることもあるのでぜひ体制を整えましょう。
採用ページや採用サイトの活用
コーポレートサイトに採用ページを作りましょう。
三重県内で就職を考える求職者が企業検索をかけて企業サイトを見つけたとき、そこに採用ページがあると企業についての理解が深まりますし応募フォームに進む可能性も高くなります。
同様にコーポレートサイトとは別に採用サイトを作ることも効果があります。
専用のサイトを持つことでSEO検索で上位に上がってくる可能性があります。
企業としての信頼度も上がります。
「求める人材像」や「具体的な仕事内容」などを詳しく記載しておくことで、企業と求職者のミスマッチを防ぐことにも一役買います。
詳しくは、採用サイトについての記事をご覧ください。
採用サイトに関する記事:ミエタイム|良い人材を獲得するために欠かせない【採用サイト】地方企業が作成すべき理由https://mietime.net/work/6107
SNSを使った発信
採用に関する情報をSNSで発信することも有効です。
若い求職者は、応募の可能性のある企業を見つけたらまずコーポレートサイトをチェックするのと同様、SNSで情報を得ようとします。
TwitterやInstagramを使って情報発信をすることで県外に住む求職者にもアピールしていきましょう。
最近ではSNS転職というものもあり、TwitterやInstagramなどで求人をかける企業もあります。
若手人材を狙うなら、SNSを活用した採用活動を展開しましょう。
若手人材を獲得する方法 ー労働環境編ー
求人広告や採用ページ・サイトに掲載する労働条件は応募の有無を大きく左右します。
本項では労働環境を中心とした若手人材の獲得方法について解説します。
賃金等のアップ
物価の高騰が続く今の社会状況において、社員の給与も物価上昇に合わせてアップさせる企業は「働く人のことを考えている」という印象があり応募しようと考える求職者が多くなります。
賞与についても同じです。
ワークライフバランスに対する配慮
「慢性的な残業の解消」「確実な休暇の取得」など社員のワークライフバランスに配慮した企業であることを示しましょう。
福利厚生を充実させ、時短勤務や産休・育休、介護休暇などの制度を確立させましょう。
誰でも無料で利用できるお菓子コーナーやコーヒーサーバーを設置するなど、社員が快適に仕事をするための福利厚生が充実していることも応募意欲を高めます。
労働環境の改善
社員の目線に立って働く環境を考えてみましょう。
フロア全体やOA機器などの設備投資といったことから、会議の効率化、ハラスメント対策など、働く人が気持ちよく仕事に集中できる環境を整えていきましょう。
そういった環境を整えていることは企業アピールとして使えます。
フレキシブルな働き方
新型コロナウイルス感染症の流行以来、テレワークを取り入れる企業が増えています。
いろいろな働き方が選択できる環境整備や、それを許容する体制を整えましょう。
地元にUターンすることを考える求職者の中には実家の親の介護が理由のことが多くあります。
テレワークを選択できる職場環境にすることで、優秀な人材が地元での転職に踏み切れることにつながります。
社員の成長
研修システムや資格取得の助成などを充実させ、社員の成長を企業が後押しするシステムを構築しましょう。
自社独自の魅力をアピールする
賃金などの労働条件や福利厚生を充実させようとしても「大企業に並ぶほどにするのは難しい」という企業もあるでしょう。
その場合は、自社独自の魅力をアピールしましょう。
例えば
「都市部にある大企業だったら入社後数年間は責任のある仕事を任せてもらえないが、自社ならば能力次第で入社後一年ほどで独り立ちし責任のある仕事ができる」
「提案したものが採用されることも多く、自分の仕事が形になる喜びを感じられる」
「達成感を得やすい」
大企業ではすぐに得ることは難しい仕事の充足感を全面に出してアピールしましょう。
厚生労働省の提言を参考にした職場づくり
厚生労働省では魅力ある職場づくりに関する助成金を行っています。
本項で簡単に内容を紹介します。
従業員の定着率を上げるために
厚生労働省が提言する「取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保」では、思うように人材を獲得できない職場に向けた提言をしています。
この中で「『魅力ある職場づくり』を進めるためには、評価や処遇、人材の育成、ワーク・ライフバランスの実現できる環境整備など、従業員の視点に立った雇用管理を実施することが効果的」と述べています。
人材確保には、従業員の視点に立った職場づくりが必要であることが分かります。
調査結果
同資料の中で紹介されている調査結果によると「従業員と顧客満足度の両方を重視する」という経営方針を持つ企業は、売上高営業利益率、売上高ともに「増加傾向にある」割合が高いという結果になっています。
また「魅力ある職場づくり」のための取り組みの実施期間が長い企業の方が「顧客満足度のみを重視する」という企業と比べて、売上高営業利益率および売上高が「増加傾向」とする割合が高くなっています。
人材確保等支援助成金
厚生労働省では、雇用管理制度(評価・処遇制度、研修制度、健康づくり制度、メンター制度、短時間正社員制度(保育事業主のみ))の導入等を通じて、離職率低下に取り組む事業主への人材確保等支援助成金(一部コースの整理・統合あり)による支援を実施しています。
助成額は「雇用管理制度助成コース」の場合、雇用管理制度の導入・運用を経て離職率低下目標を達成できた場合に57万円(生産性要件を満たした場合は72万円)となっています。
詳しくは厚生労働省ホームページ「雇用・労働人材確保対策」からご覧ください。
厚生労働省による提言は若手人材に特化したものではありませんが、地方企業が人材獲得のために着手するべきものへの提言として参考にできることがあります。
助成金なども活用し、人材獲得に取り組みましょう。
引用・参照:厚生労働省|取り組みませんか?「魅力ある職場づくり」で生産性向上と人材確保
まとめ
本記事では、県内中小企業の経営者や採用担当者の方が若手人材を獲得するための方法について解説しました。
若手人材の不足に悩む地方企業の現状や三重県内の現状、若手人材を獲得できない理由、若手人材を獲得する方法を採用活動と労働環境に分けて解説しました。
厚生労働省の提言する職場づくりや助成金についても紹介しています。
優秀な若手人材を確保し、長く働いてもらうことが企業の利益につながります。
採用活動にかかるコストは今後の自社の成長に対する投資と考え、採用活動の参考にしてください。