「地方移住って、やっぱり車がないと無理なの?」三重県への移住を考えるとき、真っ先に気になるのが“交通手段”ではないでしょうか?
特に運転に不安がある方や、小さなお子さん、高齢の親と一緒に暮らすことを考えている場合、通勤や通学、病院・買い物などの移動手段はとても大切なポイントです。
この記事では、
- 三重県で車なしでも暮らせるのか?
- 三重県の公共交通は使えるのか?
- 三重県に住むなら、どの地域が便利なの?
といった疑問を出発点に、三重県の各地域ごとの交通事情や支援制度、移動に関する不安をまるごと解決できる情報を分かりやすく解説します。
三重県ってどんなところ?移住前に知っておきたい交通の特徴

三重県と一口に言っても、地域によって交通事情は大きく異なります。
移住前に全体像を把握しておくことで、「どのエリアなら自分たちに合った暮らしができるか」が見えてきます。
三重県は「車社会」って本当?
結論から言うと、三重県は「車社会」です。
これは大阪から三重県に移住してきた筆者が、最初に強く感じたことの一つでもあります。
移住してきた当初、三重県にある職場の人からは、「車は買ったの?」「車がないとどこもいけないよ」と散々言われ、「ああ、三重県は車がないとダメなんだな・・・」と思い知らされました(笑)
実際、三重県は全国的にも車の保有率が高く、世帯あたりの車両保有台数は1.4台と日本9位の保有率の高さです。(2021年調査結果)
特に中南勢・東紀州エリアでは、通勤や通院、買い物に車を使うのが当たり前というライフスタイルが根づいています。
一方、北勢地域(桑名・四日市など)や県庁所在地の津市では、電車やバスが比較的整っており、車なしでの生活も可能です。
地域によってこんなに違う!公共交通の実情
三重県は南北に長く、都市部と山間部・海沿いエリアとで交通事情が大きく異なります。
公共交通の利便性も「地域差」がはっきり分かれているため、移住前には“どこに住むか”を慎重に選ぶ必要があります。
- 北勢(桑名・四日市など):
名古屋通勤圏でもあり、近鉄・JR・養老鉄道など複数の路線が整備されている。
特に桑名駅や近鉄四日市駅の周辺は、駅前にショッピングモール・病院・行政機関などが集まっており、車がなくても生活しやすいのが特長。
- 中勢(津・松阪など):
津市は三重県の県庁所在地で、近鉄・JR・伊勢鉄道などが利用できます。
津市中心部はバス網も発達しており、主要施設へのアクセスは比較的◎。
松阪市はやや車依存度が高くなりますが、駅周辺であれば日常生活は問題なく送れます。
- 南勢・東紀州(伊勢・志摩・尾鷲・熊野など):
このエリアは自然の景色が美しく、眺めも良いので移住希望者にも人気がありますが、電車は1時間に1〜2本程度と本数が少なく、通院や買い物も車移動が前提となる地域がほとんどです。
志摩市のように観光地ではあるものの、日常生活には車が必須というケースも。
このように、三重県の公共交通機関は都市部を中心に整備されている一方で、自然豊かな地域ほど自家用車への依存度が高くなる傾向があります。
移住先を選ぶ際には、地域の交通インフラの現状と、自分たちのライフスタイルとの相性を見極めることが大切です。
生活に必要な“3つの交通”|通勤・通院・買い物
日々の暮らしで必要となる移動手段は、大きく分けて「通勤・通学」「通院」「買い物」の3つです。
それぞれのシーンにおける交通の利便性を把握しておくと、移住後のギャップを防げます。
- 通勤・通学:
都市部では電車やバスで通勤通学が可能ですが、郊外や山間部では自家用車が必須です。
特に朝夕の通勤通学時間帯に公共交通の本数が多いか、遅延や運休が少ないかもチェックポイントになります。
- 通院:
地域の基幹病院や診療所までのアクセスは生活の安心度に直結します。
都市部ではバスや電車でのアクセスが整っている一方、地方では予約制の福祉バスやタクシー利用が必要な場合があります。
夜間や休日診療への移動手段も必ず確認しましょう。
- 買い物:
日常の食料品や日用品の調達手段も大切です。
大型スーパーやドラッグストアが徒歩圏にあるか、またはネットスーパーや移動販売が利用できるかで利便性が変わります。
郊外では週末にまとめ買いをする生活スタイルになる場合もあります。
この3つの交通シーンを総合的に考えることで、「自分たちに必要な生活インフラ」が明確になり、エリア選びの精度が高まります。
車がなくても暮らせる?公共交通が充実しているエリア

「運転に自信がない」「できれば車を持ちたくない」そんな方でも安心して暮らせるのが、公共交通の利便性が高い地域です。
ここでは三重県内でも“車なし生活”が実現しやすいエリアをご紹介します。
桑名市|名古屋通勤圏+駅周辺に商業施設が集約
桑名市は名古屋まで電車で20〜30分という好立地。
近鉄・JR・養老鉄道の3線が乗り入れており、通勤・通学・レジャーへのアクセスが抜群です。
駅前には大型ショッピングモール「サンファーレ」やスーパー、医療機関、銀行などが揃い、日常の用事は徒歩圏内で完結します。
また、市内には路線バスも運行されており、駅から少し離れた住宅地でも車なし生活が可能です。
特に、近年駅周辺のマンションや商業施設の人気は高く、子育て世帯や高齢者にも注目が集まっています。
津市|県庁所在地ならではのバス路線の充実
津市は三重県の行政・商業の中心地で、近鉄・JR・伊勢鉄道が利用可能です。
津駅からは名古屋や伊勢方面へのアクセスも良く、市内全域には三重交通の路線バスが広く網羅されています。
市役所や図書館、総合病院などの公共施設が中心部に集中しており、徒歩またはバスで日常生活を回せます。
さらに、ショッピングセンターや飲食店も多く、免許返納後の高齢者にも暮らしやすい環境が整っています。
津駅周辺の住宅は人気が高く、公共交通の利便性と都市的な暮らしを両立できるのが魅力です。
四日市市|近鉄とJRのダブルアクセスが魅力
四日市市は近鉄四日市駅を中心に、近鉄名古屋線・湯の山線、JR関西本線が利用可能で、名古屋や鈴鹿、亀山方面への移動がしやすい点が魅力です。
近鉄四日市駅周辺には大型百貨店やスーパー、医療機関が集まり、自転車+公共交通で生活が完結します。
また、市内にはコミュニティバスや三重交通の路線バスが運行しており、駅から離れたエリアでも移動手段を確保できます。
工業都市としての規模感もあり、働き口や都市機能が充実しているため、働きながら車なしで暮らしたい人にとって理想的なエリアともいえます。
駅チカ・平坦地・バス本数…選ぶときの3つのポイント
車なしで暮らすためには、生活動線に直結する立地条件を満たすことが大切です。
- 駅チカ:
駅から徒歩10分以内の距離であれば、日々の通勤や通学、買い物の移動がスムーズです。
駅近物件は家賃や価格が高めですが、交通費や時間の節約を考えれば十分価値があります。
- 平坦地:
坂道や段差が少ない平坦なエリアは、自転車移動や高齢者の外出も安心してできます。
特に雨の日や荷物が多いときのことを考えると、平坦地が良いでしょう。
- バス本数:
1時間に2本以上の運行があるかを目安にすると安心です。
本数が少ないと生活スケジュールが制限されるため、通院や急な外出時に困ることがあります。
これら3つの条件を満たすエリアを選ぶことで、車に頼らない生活の快適さと自由度が格段に上がります。
移住前の下見では、実際に朝夕の時間帯に交通状況を確認するのがおすすめです。
車が必須なエリアと、うまく暮らすための工夫

「自然が豊かで静かなエリアに住みたいけれど、交通の便が気になる」そんな方も多いはず。
ここでは、車が必要とされる地域での暮らし方と、交通を補うための工夫をご紹介します。
車がないと不便なエリアは?(志摩・熊野・度会など)
南勢や東紀州地域は、海や山に囲まれた自然豊かな環境が魅力ですが、公共交通の本数が非常に限られています。
例えば志摩市では、観光シーズンを除くと路線バスの運行本数が1日数本という路線もあり、通院や買い物には自家用車が不可欠です。
熊野市や度会町も同様に、最寄り駅やスーパーまでの距離が長く、日常的に車を利用するライフスタイルが前提となります。
このようなエリアでは、どうしても運転免許を持つ家族が複数人いることが必要になってきます。
カーシェア・レンタカーの活用で「週末だけ車生活」も可能
車を常時所有しなくても、必要なときだけ車を利用する方法があります。
最近では、地方の駅前やスーパー、道の駅などにカーシェアリングサービスのステーションが設置されるケースが増えています。
また、レンタカー店舗も観光地には点在しており、週末や特定の用事だけ車を使う「部分的車生活」が可能です。
この方法なら、保険料や車検、メンテナンスといった維持費を抑えながら、必要なときに車で移動できます。
ガソリン代・車検・維持費…車生活のコスト感覚とは?
地方で車を所有すると、年間の維持費は1台あたりおおよそ30万〜50万円程度かかります。
内訳は、主に以下の通りです。
- ガソリン代(年間約10万〜15万円)
- 自動車保険料(年間約5万〜10万円)
- 車検費用(2年ごとに約10万円前後)
- タイヤ交換やオイル交換などのメンテナンス費用
- 駐車場代 など
さらに、夫婦や家族で2台体制になると、単純に倍のコストが発生するため、家計への負担は大きくなります。
そのため、移住前に「本当に2台必要か?」「公共交通やカーシェアで代替できるか?」を検討しておくことをおすすめします。
車を持つ場合も、省エネの車や軽自動車を選ぶことでガソリン代や税金を抑える工夫ができます。
子育て世帯・高齢の親との移住も安心できる理由

家族のライフステージによっても、必要な交通手段は変わっていきます。
ここでは、子育て中の家庭や高齢の親との同居を検討している方が安心できる、三重県の交通面でのサポートや取り組みを詳しく紹介します。
スクールバスや送迎支援制度のある市町村も
過疎地域や学区が広い地域では、小中学校までの距離が遠い家庭のためにスクールバスが運行されている場合もあります。
これにより、安全に子どもたちが通学でき、共働き家庭や免許を持たない保護者でも安心です。
また、市町によってはPTAや地域ボランティアによる送迎サポートも整備されており、悪天候時や部活動後の夜間送迎にも対応している場合があります。
こうした制度の有無は、子育て世帯にとって移住地選びの大きなポイントです。
福祉有償運送ってなに?高齢者の移動を助ける仕組み
「福祉有償運送」とは、要介護高齢者や身体障がい者が病院や施設、買い物などの日常生活を送る上での移動をサポートする有償の送迎サービスです。
NPO法人や社会福祉協議会、自治体などが運営し、事前登録制で利用できます。
例えば伊賀市や松阪市では、ドライバーが車いすごと乗車可能な車両で送迎してくれる事例もあり、介助が必要な場合でも安心です。
免許を返納した高齢者や、家族が日中不在の世帯にとって、日常生活を支える重要なインフラとなっています。
参考:伊賀市「福祉有償運送について」/暮らしまるごとマップ「松阪市社会福祉協議会」
買い物難民を防ぐ「移動スーパー」「地域交通」の存在
交通の便が悪い地域や高齢化が進んだ集落では、週に数回決まったルートを巡回する「移動スーパー」が活躍しています。
生鮮食品から日用品まで幅広く揃えており、自宅近くで買い物が完結します。
また、自治体が運営する「デマンド型交通」や「コミュニティバス」もあり、予約すれば自宅近くまで迎えに来てくれる仕組みも一部自治体では普及しています。
これにより、車を運転できない高齢者や、子どもを連れての買い物が難しい家庭でも、生活の不便を最小限に抑えられます。
よくある質問Q&A|三重県移住と交通のリアル

「本当に車がなくても大丈夫?」「家族の移動は?」そんな移住前の不安や疑問に対して、ここではよくある質問と具体的な解決策をQ&A形式でまとめました。
Q. 車がないと買い物や通院は本当に無理?
A. エリア選び次第で、車がなくても生活は可能です。
例えば津市・桑名市・四日市市の駅周辺では、大型スーパー、病院、行政機関が徒歩圏やバス路線沿いに揃っており、公共交通機関だけで日常生活が完結します。
さらに、ネットスーパーや移動販売車、宅配サービスを併用すれば、重い荷物を持ち運ぶ必要も減り、車なしでも不便を感じにくくなります。
Q. 子どもの習い事の送り迎えってどうしてる?
A. 駅近や住宅街にある教室を選ぶ、もしくは送迎付きの習い事を利用するケースが多いです。
ピアノや英会話、スイミングスクールなどは送迎バスを持つ施設も多く、共働き家庭でも対応しやすい環境が整っています。
また、市町によっては子育てタクシーがあり、比較的リーズナブルで安全に送り迎えが可能な場合もあります。
参考:名鉄四日市タクシー「子育てタクシーとは【事前登録制】」
Q. 自分が運転できない場合、どこなら暮らせる?
A. 運転免許を持たない、または運転が不安という方には、鉄道・バスの中心地となる都市部や駅近エリアがおすすめです。
特に津市、四日市市、桑名市の中心部は、商業施設、病院、行政サービスが徒歩圏にまとまり、生活動線がコンパクト。
バスやタクシーを組み合わせれば、日常生活に大きな支障はありません。
Q. 電車通勤は現実的?名古屋・大阪圏へのアクセスは?
A. 名古屋方面へは桑名市・四日市市・朝日町・川越町が便利で、近鉄特急やJR快速を使えば30〜50分程度で到着します。
大阪方面へは伊賀市や名張市から近鉄特急を利用するルートが主流で、所要時間は約1時間〜1時間半です。
通勤頻度が少ない場合は、定期券ではなく回数券やICカードを活用することで、交通費を抑えながら快適に通勤できます。
名古屋へ通勤可能な三重県のエリアについては、以下の記事で詳しく解説していますので、ぜひ参考にしてください。
まとめ|三重県の交通事情を知れば、移住の不安はぐっと減る

三重県は地域によって交通インフラの差が大きく、「車がないと無理」と思われがちですが、実は工夫次第で車なし生活も可能です。
鉄道・バスが充実している都市部や駅近エリアを選ぶことで、子育て世帯も高齢者も安心して暮らせる環境が整っています。
また、交通支援制度やカーシェア、移動スーパーなどをうまく活用すれば、運転に不安がある方でも不自由のない暮らしを実現できます。
三重県移住を検討中の方は、ぜひ「交通手段」も視野に入れて、自分たちにぴったりの地域を見つけてみてくださいね。