未経験から農家になる!三重県で就農する方法を紹介
三重県で就農したい人や実家に戻って家業である農業を継ぎたい人の中には、就農のハードルの高さに悩んでいる人もいるでしょう。
たとえ就農意欲があっても、未経験から農業を始めることへの不安や資金面での心配などが、一歩踏み出すことを躊躇させるのかもしれません。
しかし、未経験で十分な資金が準備できていなくても就農する方法はあります。
三重県には農業大学校があり、1年もしくは2年通うことで農業の基礎知識から経営ノウハウまで学ぶことができます。
農家に研修に行って実際に仕事をしながら農業を学ぶ方法も。
気になる資金面も、要件を満たせば国や自治体からの交付が受けられる制度があります。
農業に興味はあるけれど諦めていたという人にとっては、朗報といえるでしょう。
三重県は農家の種類も豊富で興味のある分野の農家になるチャンスも多く、未経験から農業を始めたい人に門戸が開かれています。
本文では、仕事として農業を行う主な3つの方法についても紹介。
失敗しないで就農するためのポイントを知りたい人は必読です。
農業を仕事にする
農業の仕事は、土地を耕すことからスタートし、苗の植え付けを行い、作物が育つまでは肥料をやったり害虫駆除をしたりと日々さまざまなことをおこなって収穫します。
育てる作物にもよりますが、基本的には太陽が昇るとともに働きはじめ、日が落ちたら終了。
規則正しい生活が身につくでしょう。
農業には農繁期と農閑期と呼ばれる時期があり、農繁期は農作業が多忙な時期、農閑期は農作業が少ない時期のことをいいます。
農閑期には農業とは違う仕事に従事する人もいますが、旬の季節が異なる作物を育てて年間を通して畑仕事をする人もいます。
暑いときも寒いときも田や畑に出て体を使った仕事がメインとなるため、健康な体でなければできません。
逆に言えば、健康である限り何歳になっても続けられるのが農業を仕事にするメリット。
田や畑で元気にはたらくシニアを見かけることも多いでしょう。
農業の仕事で大変なところは、自然が相手ということです。
どれだけ事前に計画を立ててもうまく作物が育たなかったり、害虫に食べられて売り物にならなくなったりするケースもあります。
天候によって作物の出来・不出来が大きく変わりますし、台風や大雨などの被害で農作物がダメになることもありえます。
自営業で営む場合は、そういったことも含めて事業計画を練る経営者としての視点が必要になるでしょう。
就農する方法
就農とは、農業という職業に就くことをいいます。
就農には、主に以下の3つの方法があります。
- 自分で始める
- 従業員として働く
- 家業を継ぐ
一つずつ解説します。
1.自分で始める
自分で農業をやっていく場合、個人事業主として経営のすべてを担います。
栽培計画を立て、作物を育てて収穫した後は、販売させてもらえる店舗を探して交渉し販路を見出すことまでおこないます。
資金や設備の確保も必要です。
自分ですべてをおこなうのは大変なことですが、有機農法などこだわりを持って作物を作ることができ、やりがいを感じられるでしょう。
2.従業員として働く
農業法人などに就職して働く方法もあります。
未経験から自分ひとりで農業を始めることは難しく、従業員としてはたらきながら技術や知識を身につけていくのはよい方法です。
ハローワークなどに求人がでていることもあり、会社員と同じように毎月給料をもらいながら働けるので安定した暮らしが保障されます。
3.家業を継ぐ
実家が農家でUターンして家業を継ぐ場合、農地や農機具、安定的に作物で収入を得る仕組みが出来上がっているのでもっとも安心です。
また後継者がいなくて困っている農家の仕事を引き継ぐ選択肢もあります。
農業を学ぶ方法
農業を学ぶには、農業大学校に入ってしっかりと知識を身につけるとよいでしょう。
三重県にも農業大学校があります。
- 農業大学校に行く
- 農家で学ぶ
ここで詳しく解説します。
農業大学校
三重県松阪市に農業大学校があります。
一般入試は募集年度の4月1日時点で60歳以下の高等学校を卒業した人、またこれと同等の学力を有すると知事が認めた人が受験できます。
社会人推薦入校試験は、一般入試と同じ要件に加え「農業に対する明確な目的意識を有し、UIJターン等により地域農業の担い手として期待でき、県内の市町長又は農業協同組合長の推薦する者」が受験できるとされています。
養成科には二年課程と一年課程があり、どちらも水田作・茶業・野菜・花き・果樹・畜産の6つのコースから実用的な技術やスキルを習得できます。
また「農業経営をおこなう上で必須となる経営学、気象、物流、機械、法律、統計、情報処理等について学ぶことができます」としています。
卒業後の進路は、令和1年の就農率は43.8%、農業関連就業率は75.0%となっています。
引用・参考:三重県|農業大学校:入校するには
引用・参考:三重県|農業大学校:卒業後の進路は
農家で学ぶ
学校に行く以外にも、農家の元で研修を受けながら技術を学ぶ方法もあります。
農家研修は、研修生は受講料の負担がないので学校に通うよりもハードルが低くなり、農家にとっては報酬を負担しないというメリットがあります。
研修先の農家は教えることに慣れているとは限りませんし、それぞれの農家によって教え方もさまざまです。
ただ、現場で何十年も培った経験とスキルを直接教えていただけるというのは貴重なことです。
自分から積極的に学びとる姿勢でのぞむとよいでしょう。
三重県で何の農家になる?
農家とひと言でいってもさまざまな種類があります。
ここでは、三重県の主な農家について紹介します。
- 米農家
- 麦・大豆農家
- 野菜農家
- お茶農家
- 柑橘類農家
- 畜産農家
1.米農家
春になったら田んぼに水を張り苗を育てて秋に米を収穫するのが主な仕事です。
重労働のイメージがある米農家ですが、現在では水田を耕すトラクターや田植え機、収穫するコンバインなどあらゆるシーンで機械化が進んでいるので体力にそれほど自信がなくても安心です。
2.麦農家
畑作に適した土を作り、土壌改良をして麦を育てます。
同じ土地で同じ作物を作り続けると連作障害という病気が増えてうまく育たなくなるため、麦畑ではいろいろな作物を同じ畑でつくる「輪作」と呼ばれる手法が使われます。
3.野菜農家
畑で野菜を育てる農家です。
扱う作物は地域によってさまざまで品目も多く、他の農家と比べて初期投資もそれほどかかりません。
もっとも新規就農しやすいでしょう。
4.お茶農家
お茶は常緑樹である茶の木の若葉を取るため、冬をのぞいたすべての期間を通して収穫します。
春に一番茶(新茶)を摘み取り、夏までに二番・茶三番茶、晩秋ごろ四番茶、場合によっては五番茶まで摘み取ることもあります。
日々の仕事では、肥料を与えたり防虫を施したりします。
5.柑橘類農家
三重県は柑橘類の栽培も盛んです。
みかん畑は山の傾斜地に作られることが多く、収穫作業はもちろん間引きなども手作業でおこなわなければならず手間がかかります。
除草や剪定を頻繁に行ったり、害虫から木を守るための農薬散布をし、肥料は春・夏・秋にまきます。
花が咲いたら実の生育の邪魔にならないよう摘花します。
収穫した柑橘類はそのまま出荷もしますし、ジュースやジャムに加工して販売することもできます。
6.畜産農家
牛や豚、鶏などの家畜を飼育して乳製品や皮革、食肉、卵などを販売します。
動物相手の仕事なので日々の世話が必須で、朝と夕方には餌をやり、家畜小屋の掃除などを行います。
他の農家と比べて初期投資の額が大きいので、いちからの新規就農は難しいでしょう。
畜産農家になるには免許が必要です。
就農に必要なもの
就農を希望する場合に必要になるものは何でしょうか?
自営で就農する場合には農地や農機具なども必要になるためそれなりに資金がかかるでしょう。
ここで詳しく解説します。
- 運転免許・車
- 農地の確保
- 農機具など
- 資金
一つずつ見ていきましょう。
1.運転免許・車
農作物や農機具を運んだりするのに軽トラックを使う光景をよく目にするでしょう。
農業をする上では何かと車の運転が必要になるため、運転免許証と車が必要です。
2.農地の確保
多くの場合、農地は借りることになりますが、地主との関係が構築できないと難しいのが現実で、地元の人との信頼関係を築いていく姿勢が必要です。
自分が育てたい作物と農地との相性も不可欠な要素。
陽のあたり具合は作りたい作物に適しているか、ビニールハウスを置く場合には強風がふいてハウスが飛ばされるおそれがないかといったことも考えて土地を選びましょう。
農地を借りる場合は、農地法に基づく市町の農業委員会の許可が必要です。
新規参入者は農業経営の計画や資金計画など農業委員会の審査を受ける必要があります。
許可がないと、たとえ土地を貸してもらえても法律上では認められず登記もできません。
買う場合も借りる場合も要件があるので、しっかりチェックしましょう。
参考:三重県|三重県|担い手・新規就農:農地の確保 – 農業
3.農機具など
何の農家になるかによって必要になる農機具が変わりますし、農地の面積によって農機具のグレードが変わることもあります。
ビニールハウスを使う作物を作る予定なら、ハウスの設置費用もかかるでしょう。
農機具にはレンタルもあるので、費用を抑えたい人は検討しましょう。
4.資金
就農するには、農機具や設備、苗や、燃料肥料などの経費がかかるだけでなく、生活面での資金も必要です。
全国新規就農相談センターが令和4年3月に行った「新規就農者の就農実態に関する調査結果」によると、新規就農者の営農面でかかった費用の平均は755万円でした。
この他に、生活費にかかる自己資金の平均は170万円となっており、新規就農するにはかなりの資金が必要になることが分かります。
自己資金もある程度貯めた上で、自治体の支援を受けることをおすすめします。
参考:一般社団法人全国農業会議所 全国新規就農相談センター|新規就農者の就農実態に関する調査結果
支援情報
就農を目指す人には国や自治体から受けられる支援があります。
農業を仕事にしたいけれど資金がなかったり、研修中の生活費が心配だったりして一歩踏み出せずにいる人でも支援が受けられれば安心して就農に向けて踏み出せるでしょう。
ここでは、国や三重県がおこなう支援について詳しく解説します。
- 農業次世代人材投資資金(経営開始型)
- 青年等就農資金(無利子融資)
- 三重県の支援
一つずつ見ていきましょう。
1.農業次世代人材投資資金(経営開始型)
独立・自営就農直後の人に対し、経営が安定するまでの最長5年間にわたり支金を交付します。
交付金額は、経営開始1〜3年目は150万円、4・5年目は120万円で、前年の所得によらず定額で受け取れます。
資金を受け取れる主な要件として、以下のことが定められています。
- 「市町村で農業経営基盤強化促進基本構想に規定する青年等就農計画の認定を受 けた認定新規就農者の方」
- 「原則として49歳以下で独立・自営就農する方」
- 「 就農する市町村の『人・農地プラン』に位置付けられてる方(見込みも可)、又は農地中間管理機構から農地を借り受けている方」
- 「 申請時及び交付期間中の前年の世帯全体(親子及び配偶者の範囲)の所得が 原則600万円以下の方」
要件の詳しい概要などは「新・農業人 ハンドブック2021」を参照しましょう。
なお、問い合わせは各市町の農政担当窓口となっています。
参考・引用:農林水産省|新・農業人 ハンドブック2021
2.青年等就農資金(無利子融資)
農業経営をスタートするために必要な機械や施設の購入に必要な資金を借りられる制度です。
対象となるのは認定新規就農者に限ります。
借入限度額は3,700万円で無利子で借りられます。
償還期限は17年以内、据置期間は5年以内です。
参考:農林水産省|新・農業人 ハンドブック2021
3.三重県の支援
三重県では、国の支援制度である新規就農者育成総合対策の活用により、就農前後の人に資金を交付しています。
新規就農を目指す人は、研修中や就農直後の経済面での不安をなくして就農に意欲的になれるでしょう。
県では、具体的には就農準備資金と経営開始資金を交付します。
就農準備資金は「就農に向けて研修を受ける研修生に対して、年間150万円を最長2年間交付」されます。
主な交付要件には、就農予定時の年齢が原則50歳未満、研修先が三重県の認定する研修期間であること、前年の世帯所得が600万円以下であることなどがあります。
この他にも要件がありますので、必ず確認しましょう。
もう一つ、三重県がおこなう経営開始資金は「新規就農者の育成を目的として、経営開始1〜3年目に年間150万円を交付」されるものです。
夫婦の場合は、225万円が交付されます。
主な交付要件には「独立・自営就農時の年齢が原則50歳未満の認定新規就農者」であることのほかに、いくつも満たすべき要件がありますので、下記サイトをチェックしましょう。
参考・引用:三重県|担い手・新規就農:新規就農者育成総合対策(就農準備資金、経営開始資金)
まとめ
三重県で就農を希望する場合、自分で始める、農業法人などで従業員として働く、家業を継ぐまたは事業継承するといった方法があります。
農業未経験で知識がなくても、農業大学校に行って学んだり農家で研修を受けたりすることで就農への道が開けています。
「未経験だから」「実家が農家なわけじゃないから」といった理由で農家になる一歩を踏み出せずにいる人でも安心して就農できる仕組みが整っているといえるでしょう。
資金の面でハードルを感じる人は、国や自治体から交付される資金や無利子で借りられる融資を検討する方法もあります。
農業未経験でも就農できるチャンスはあるので、農業に興味を持ち仕事にしたいと考える人は、ぜひ、検討しましょう。
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