三重にゆかりのある作品8選 マンガ・本・小説
12月も半ばに入り、ますます寒さが厳しくなってきました。
こんな時期はエアコンの効いた暖かい部屋で本を読むに限ります。
本も限りなくあり、名作と言われる文学作品からスマホで読めるマンガまで、何を読んだら良いのやら。
本当に迷いますよね。
そこで今回は出身の作家さんや、県内の地名が出てきたり、ノンフィクションであったりと、三重にゆかりのある作品をピックアップしてみたいと思います。
小説に限らず探してみました。(タイトルあいうえお順)
- 「伊勢物語」 木原敏江 集英社 2011年
- 「犬がいた季節」伊吹有喜 双葉社 2020年
- 「高校生レストラン」 村林 新吾 伊勢新聞社 2008年
- 「sunny」①~⑥(完結) 松本大洋 2011年
- 「潮騒」 三島由紀夫 1954年
- 「新幹線のたび~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~」コマヤスカン 2011年 講談社
- 「神客万来!」①~④ ねむようこ 2020年 芳文社
- 「パノラマ島奇譚」江戸川乱歩 1926年
「伊勢物語」
いきなり古典…が出てきましたが、とっつきにくいかもしれないので読みやすいようマンガ版にしました。
古典と思うと手が伸びにくくても、「恋愛小説」と思えば身近ではないでしょうか?
ケータイ電話やSNSのない時代。
五・七・五の、センス良き和歌の「ラブレター」から恋が始まるのです。
タイトルに「伊勢」とついているのは、125段あるうちの1つに、伊勢が舞台のお話があるからと言われています。
恋愛の相手が伊勢神宮の斎王(天皇に替わり神に仕える身分の女性)。
なかなか考えにくいですが、タブーだからこそのロマン。
実話なのでしょうか。。。主人公は百人一首にもその名がある「在原業平(ありわらなりひら)と言われています。
後に書かれる「源氏物語」や能、歌舞伎など伝統芸能にも影響を与えています。
古典だけあり、様々な出版社からマンガ版や児童書が出ています。
まずこれらで読んでみて、慣れたら本格的古典に挑戦するのは如何でしょうか。
電子書籍でも読めます。
「犬がいた季節」
三重県出身の作家、伊吹有希さんの小説です。2020年発行。
映画化もされた「四十九日のレシピ」の著者です。
映画もおすすめですよ。
四日市市富田駅前にある、四日市高校と思われる母校。
年度別の卒業生たちと、学校で飼われていた一匹の犬「コーシロー」が主人公です。
昔は良かったなあ…なんて思い出すときに、当時流行っていたCM、歌、番組等と一緒に思い出が蘇ること、ありませんか。
このお話に出てくる学生たちの世代と同世代の方はしみじみ懐かしい気持ちになりますよ。
小説が終わっても登場人物たちの人生は続いてゆく、若者たちの人生を少し垣間見た気になれる、心に沁みる、そんな瑞々しい小説です。
最寄りの図書館で借りるか、またはAmazon等で購入可能。
「高校生レストラン」
次はノンフィクションです。
三重県多気郡にある、県立相可高校調理部が運営する「まごの店」と、それを立ち上げた顧問の村林先生ご本人がつづった本。
地元の食材と、学生の教育、さらに地域一体となってレストラン「まごの店」をオープンさせ運営していく様子は読んでいて応援したくなります。
当時テレビドラマにもなり、お店は連日行列、観光客も殺到、など話題を集めました。
現在でも多気郡「ごかつら池ふるさと村」にある食の施設として「まごの店」営業中です。
動物たちと触れあえる動物園や、BBQエリア、マルシェに白鳥ボート、季節の味覚狩りと、ファミリーやカップルで一日中遊べる複合スポットとなっていますよ。
最寄りの図書館で借りる、またはAmazon等で購入可能。
「sunny」①~⑥巻
次はマンガです。
2010年から2015年までコミック「IKKI」で連載されていました。
映画化もされた「ピンポン」や、「鉄コン筋クリート」等、名作を生み出した偉大なる作家さん(と、私は思っています)である松本大洋さんの作品。
この「sunny」、実は舞台が三重県四日市の児童養護施設「星の子学園」(架空の施設です)という設定で描かれています。
様々な事情で親と一緒に暮らせない子どもたち。
施設で暮らす子どもたちの目線から、物語は主に描かれます。
それにしても、事情で親と暮らせない子どもらのことを思うと切ないです。
子供らの感情の多くは説明がありませんが、言葉に足りる風景描写やその表情で、感情移入してしまいます。
実際に児童施設に居たことのある著者の経験を元にしているそうで、長年構想をあたためて描かれた著者の「自叙伝」的作品。
大洋ファンでなくとも必読です。
tsutaya discusでレンタル可能。またはrenta!等電子書籍で読めます。
「潮騒」
日本を代表する作家の1人、「世界のミシマ」にも、三重を舞台とした作品があります。
三島が傾倒していた古典文学の中の、古代ギリシアの恋愛物語をもとに着想した小説だそうです。
島の漁師「新治」と、島の海女である「初江」の結婚に至るまでの純愛を書く小説。
三島が三重県の神島を取材に訪れており、作品中では「歌島」との表記になっています。
発売されるや否やベストセラーとなり、3ヶ月ほどで70刷に達したそうです。
発表翌年には翻訳され海外にも出版されています。
この作品により三島が一躍芸能人並みの知名度に。
小説家兼劇作家、評論家として日本を代表する作家の1人として認知されています。
このあとに三島文学の頂点ともいわれる「金閣寺」を発表しています。
最寄りの図書館へ。または本屋さんで購入可能。
「新幹線のたび~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~」
絵本を子に与えるとき、対象年齢はさほど気にしなくて良いかと思っています。
1歳なら1歳なりに、5歳なら5歳なりの楽しみ方があると思うのです。
1歳なら字は読めずとも、ページをめくる感触を確かめたり色彩を感じたり。
しばらく経ち読み返すと常に新たな発見があります。
そういう楽しみ方ができる絵本です。
電車好きなお子様ならなおさら。
著者のコマヤスカンさんは三重県ご出身で、四日市市にある「子どもの本の専門店メリーゴーランド」の絵本塾で絵本作りを学び、デビューされた作家さんです。
この絵本塾、他にも同じく三重県出身のつつみあれいさん、岐阜出身のはっとりひろきさんなどたくさんの作家さんを輩出していて、それらの作家さんの作品もおすすめです。
最寄りの図書館で借りる、楽天ブックス等でも購入可能
「神客万来!」①~④巻
岐阜県出身のねむようこさんの作品。
「お客様は神様です」というフレーズはよく聞きますが、お話の舞台であるツバメ屋ホテル、お客様が人間ではなく、神様であったり昔話に出てくる「アチラの世界」の方々たちなんです。
で、何で三重ゆかりなん?と思われると思いますが、
物語が繰り広げられるツバメ屋ホテルの外観が、三重県桑名市の「六華苑」がモデルになっており、作画協力されたことが公式HPにも載っています。
このレトロな外観があらゆるシーンに出てきてこのお話に雰囲気を添えています。
この「六華苑」ではこれまでも様々な映画、ドラマなどが撮影されており、
洋館、和館と日本庭園がマッチした和洋折衷な施設となっています。
三重県北部を訪れた際はお立ち寄りください。
コミックは本屋さんで。または電子書籍でも読めます。
Renta!で読む
「パノラマ島奇譚」
三重県名張市出身の作家、江戸川乱歩。
推理小説や探偵小説シリーズが有名です。
妖艶、耽美、狂気、グロテスクな文体。
その驚きのラストまで、圧倒的な筆力で読ませます。
死体の描写までが美しいなんてありえるのですね。
舞台はM県S群南端のI湾に浮かぶ小島。→三重県志摩郡南端の伊勢湾に浮かぶ島。
主人公が、病気で亡くなった、自分と顔が瓜二つである島の持ち主のお金持ちの資産家になりすますという、壮大な計画。
しかし、最も亡くなった彼を知る、妻なる人物もだますことができるのでしょうか。(ネタバレすみません汗)
大御所作家ならではの洗練された文体と、充実の読後感。味わってください!
写真はマンガ版のもの。最寄りの図書館で借りられます。または本屋さんで。
最後に
普段本を読まないという方にも、本に親しみを持ってもらえるような並びにしてみました。
如何でしょうか。
どうしても9つになってしまい8つにおさめるため泣く泣く削った作品もあります。
ここに詞や歌集なんかも含めると選びきれないので外させていただきました。
何と言っても三重には俳句で有名な松尾芭蕉、国学者の本居宣長、著書も出している松浦武四郎等がいらっしゃいます。
学術書をいれるとさらにきりがないです。
本のあらすじやネタバレは、確かにスマホで調べられる時代。
ですが時間をとってじっくり実際に読んでみるとその本の世界観に没頭できて違う世界が見えますよ。
この年末はお休みになるまえにぜひ地元の図書館または本屋さんに足を運んでくださいね。