妊婦中の妻とイヤイヤ期の娘。鳥羽水族館とVISONで過ごした、やさしい一泊二日の家族ミエ旅

※写真家ではないので挿入されている写真が綺麗でないことはご容赦ください。

「出産前に家族3人で、ちょっと特別な旅をしようか。」

そんな一言から始まった、今回の家族旅行。妊娠中の妻と、絶賛イヤイヤ期真っ最中の2歳の娘、そして私。にぎやかで、すこし不安もあって、それでもどこか楽しみな旅のはじまりでした。

行き先に選んだのは、三重県を代表するふたつのスポット。
海のいきものたちに会える『鳥羽水族館』と、自然と癒しが調和する『VISON(ヴィソン)』。

この旅には、ひとつ大切な意味がありました。
それは、夫婦にとって3回目の結婚記念日を祝うこと。
日常の慌ただしさに追われて、なかなかちゃんと“夫婦としての時間”を持てていなかった私たちが、“家族”というかけがえのない存在を感じ直すための、ささやかだけど心のこもった記念日旅行でした。

もちろん、すべてがスムーズだったわけではありません。移動中の渋滞、娘の「イヤ!」の嵐、なかなか寝てくれない夜…。
でも、そのすべてが愛おしく、今では笑って話せる思い出です。

同じように、「妊娠中だけどどこかに行きたい」「イヤイヤ期の子を連れて旅行なんて大丈夫かな」そんな気持ちを抱えるご家族にも、ぜひ読んでいただきたいと思います。

“できる・できない”じゃなくて、“一緒に楽しむ工夫”があれば、旅はきっと温かいものになる。そう実感できた、我が家の一泊二日の記録です。参考になれば嬉しいです。

雨と渋滞と、ちょっと遅めのスタート

朝、少し重たい曇り空の下、私たちは三重県桑名市を朝9時ごろ出発をしました。
「のんびりスタートでも、今日は特別な日だから大丈夫」そんな気持ちで車に乗り込み、最初の目的地 鳥羽水族館を目指します。

天気はあいにくの雨模様。けれど、車内は明るい気配に包まれていました。

「きょう、どこいくの〜?」後部座席からは、2歳の娘の小さな声。
「おさかな、いっぱい見れるところだよ」と答えると、目をきらきら輝かせながら「おさかな!おさかな!」と嬉しそうに叫ぶ姿に、親として思わず笑ってしまいました。

本来なら桑名から鳥羽水族館までは、車で1時間半ほどの道のり。ところが途中、伊勢道の松阪インター付近で事故渋滞に巻き込まれてしまいました。

40分ほどの足止め。でも、不思議と焦りはなく、むしろ「これも旅の味わい」と思えるような、ゆったりとした気持ちで過ごせました。
車内では、娘のワクワクと妻の穏やかな笑顔、そして雨音がリズムのように重なり合って、「今日は、きっと良い日になる」そんな予感を静かに抱きながら、家族3人の“特別な時間”が少しずつ始まっていきました。

大水槽の魚達に大興奮

渋滞を抜けて、ようやくたどり着いたこの旅の第一目的地、鳥羽水族館。海の香りがほのかに漂う中、車を降りた瞬間から「旅行に来たんだな」と心がふっと軽くなります。

駐車場は1日1,000円で、広々としたスペースが確保されていました。敷地外ではありますが、施設まではすぐ。小さな子ども連れでもストレスなく移動できます。ちなみに、再入庫はできないので、その点だけ注意が必要です。

今回は、事前に公式サイトから入場チケットをオンライン購入しておいたおかげで、チケット売り場に並ぶこともなく、スムーズに館内へ。こうした“ちょっとした準備”が、子連れ旅では何よりありがたいと実感します。(チケットのオンライン購入は公式サイトから行えます。https://aquarium.co.jp/

料金は大人ひとり2,800円、3歳未満は無料でした。私たちは大人2名(子どもは3歳児未満)だったので、家族3人で5,600円

さて、早速の水族館。
娘は今回が初めての水族館体験だったので、どんな反応かとても楽しみでした。入場を行い、エレベーターを降りた先に広がっていたのは…巨大なパノラマ水槽。青く澄んだ世界の中を、色とりどりの魚たちが優雅に泳ぎ回ります。天井まで届きそうなその水槽は、まるで“海の中に入ったかのような感覚”。

「うわぁ……!」

娘がふと立ち止まり、目をまんまるにして、水槽の前で釘づけになりました。まだ言葉が拙いながらも、その一言と表情で、“感動している”ことがひしひしと伝わってきます。

その姿を見て、隣で立ち尽くしていた妻と私は、自然と顔を見合わせてにっこり。きっと、同じことを感じていたのでしょう。

「ここに来て、本当に良かったね。」

言葉にならない感情が、家族の間をふんわりと流れるような、そんなあたたかい時間が、鳥羽水族館の入り口で静かに始まりました。

推しはラッコ!私たち夫婦の定番

鳥羽水族館といえば、何といってもラッコ。ふわふわの毛並みに、器用な手先、くるくるとよく動く表情。まるでぬいぐるみのような愛らしさに、大人も子どもも、つい見入ってしまいます。

今や日本国内でラッコに会える場所は、鳥羽水族館のみ。ここには2頭のラッコが飼育されており、その姿を見ることができるのは、本当に貴重な体験です。

実は私たち夫婦にとって、ラッコは“特別な存在”。まだ娘が生まれる前、夫婦ふたりで訪れた鳥羽水族館で、真っ先にラッコのエリアへ足を運び、その無邪気な仕草に癒されていました。

今回の旅でも、「やっぱりラッコに会いたいね」と、娘と一緒に真っ先に向かいました。展示エリアに着くと、ガラス越しにすいすいと泳ぐラッコたち。時には仰向けにぷかぷか浮かんでいたり、貝をコツコツ割っていたり……。

娘はその動きを目で追いながら、声にならない小さな「わぁ」を何度も繰り返していました。私たちは、その横顔をそっと見守るようにして、「ラッコっていいよね」「この子も、ラッコが好きになるかな」と、まるで昔の自分たちを重ねるような気持ちになりました。

数年後、もう少し大きくなった娘と、またここに来てラッコを見られたら…。そんな“未来の思い出”まで想像させてくれるのが、ラッコの魅力なのかもしれません。

因みに、現在は混雑防止のためか、1グループ約10名ずつが1分間のみ、目の前で観覧することができます。時間も3つ(9:40、13:00、16:10)のみとなっているため、見逃さないように注意が必要です!https://aquarium.co.jp/show/

子連れでも安心。水族館のやさしさ

娘にとって、今回が人生で初めての水族館。そして、妊娠中の妻にとっても、久しぶりの本格的なお出かけ。正直なところ、「最後まで無理なく楽しめるかな?」という不安もありました。
でも、鳥羽水族館はそんな不安をやさしく包み込んでくれる場所でした。

まず、館内はベビーカーの持ち込みもOK。我が家も用意していきましたが、娘は終始ハイテンションで、元気に自分の足で歩き回ってくれました。歩くたびに目に飛び込んでくる海の生きものたちに、夢中になっている様子。小さな背中が、あっちへこっちへと嬉しそうに揺れている姿が、なんとも微笑ましかったです。

そして、エレベーターやスロープ、休憩スペースも充実
階段を使わなくても館内をぐるっと回れるようになっていて、妊婦さんや小さな子を連れた家族にとって、無理なく楽しめるつくりになっているのが本当にありがたかったです。

この日は平日だったこともあり、混雑もほどほど。人気スポットとはいえ、周りを気にしすぎずに、ゆったりと展示を見て回ることができました。

さらに夏場だったのに、館内は空調がしっかり効いていて、涼しくて快適な空間。暑さに弱い妊婦の妻にとっても、移動中の疲れがすっと癒されるような心地よさでした。

娘は魚たちを見ながら、「これ、なに?」「みて!うごいた!」と無邪気な声を上げ、私たちはその姿を見ながら、肩を並べて、ゆっくりと時間をかけて歩く。それだけで、かけがえのない家族の時間になっていた気がします。

レストランベイサイドでランチ

館内をひととおり見て回り、そろそろお腹も空いてきた頃。どこでお昼を食べようか……と迷う間もなく、私たちは館内にあるレストラン、「ベイサイド」へ向かいました。

ここは鳥羽湾を望む開放的なレストランで、水族館の雰囲気にぴったりな、明るく清潔感のある店内。平日の昼時ということもあり、混雑もそこまでなく、すぐに席に案内してもらえました。

まず嬉しかったのは、子ども用の椅子が完備されていたこと。イヤイヤ期の娘にとって「椅子の座り心地」は意外と重要なポイント。ぐらつかず、高さも丁度よく、機嫌よくおとなしく座っていてくれたのは大きな助けになりました。

注文後は、料理の提供もとてもスピーディー。“待たせない工夫”があると、子連れ旅のストレスがぐっと減るんだと実感しました。

今回注文したのは、こちらです。食事がメインではないので、サラッと食べられるものを注文しました。

正直なところ、価格帯はやや高めの印象がありますが、この立地とサービス、そして安心感を思えば、十分に納得できるものだと思います。

ちなみに、子ども用のお皿やフォークなどは当然ありますので安心です。

「子どもと一緒に、落ち着いてごはんが食べられる」それって、思っている以上に貴重なことですよね。レストラン ベイサイドは、そんな“家族にやさしい時間”を届けてくれる場所でした。

鳥羽水族館について、まだまだ書きたいことがありますが、この辺にしておきます。
実際に行ってみてわかることは、家族の思い出に間違いなくなるということです。
是非、素敵な時間を生でお過ごしください。

VISON(ヴィソン)へチェックイン

鳥羽水族館をたっぷり楽しんだあとは、次なる目的地へ。
車に揺られて約30分、山と緑に囲まれた美しい場所、VISON(ヴィソン)に到着しました。

実はVISONに来るのは、今回が3回目。おしゃれなお店が並び、空気も澄んでいて、歩くだけでも心地よい大好きな場所です。
でも、これまで「自宅から近いし、日帰りで充分かな」と思っていたこともあり、宿泊はしていませんでした。

そんな私たちが、今回あえて「泊まってみよう」と思ったのには理由があります。
それは、結婚3周年の記念日を、家族でゆっくり過ごしたいという気持ちからです。妊娠中の妻に無理をさせないよう、移動が少なくリラックスできる場所として、VISONがまさにぴったりだったのです。

宿泊したのは、敷地内にある「HOTEL VISON(ホテルヴィソン)」。

今回は、大人2名+3歳未満1名の朝食付きプランで、30,867円(税込)。宿泊費としては決して高すぎず、それでいてしっかりと“上質”を感じられる価格帯でした。

お部屋に入った瞬間、思わず息をのむほどの開放感。

床から天井まで広がる窓の外には、VISONの町並みが一望できるバルコニー
空の広さ、山の緑、遠くに見える施設の灯り…まるで絵画のような景色が広がっています。(冒頭にも書きましたが、写真撮影のセンスがないことお許しください… )

そして、お風呂はなんと半露天風呂付き

やわらかい照明に包まれながら、ゆっくりお湯に浸かるその時間は、“日常を離れる”という言葉の意味を体で感じるような贅沢なひとときでした。

妻も、深くため息をついて「これ、ほんとに最高」と一言。娘も、自宅ではなかなか味わえない広さと開放感に、ぴょこぴょこと歩き回って大喜び。家族全員が、それぞれのペースでくつろげる空間が、ここにはありました。

また、子連れ向けのサービスも充実していて、ベッドガード、踏み台、オムツ用ゴミ箱(オムツパッカー)なども無料で貸し出しOK。

「ここまで気配りされているなら、子ども連れでもまた来たい」と、思わずメモを取ってしまうほどでした。

これまで“近いから泊まらなかった場所”で、こんなにも満たされるとは…。近くても、泊まることで見える景色があるんだなと感じた、VISONでの初めての夜でした。

夜はNOUNIYELL(ノウニエール)でゆったりディナー

お風呂で心も体もほぐれたあとは、VISON内にあるレストラン、「NOUNIYELL」へ。

夜のヴィソンは、昼間とはまた違う落ち着いた表情を見せてくれます。街の灯りがやさしく灯り、空気はすっと澄んでいて、まるで森の中にいるような静けさ。そんな雰囲気の中、家族3人でのゆったりとしたディナータイムが始まりました。

ノウニエールは、自社農園を持つレストランで、店の裏手には広大な畑が広がり、そこで育った旬の野菜をそのまま料理に使っているそうです。

食事会場から、農園に出ることができましたが、とても素敵でした。

料理は、どの料理も“素材そのものの味”がしっかり感じられ、「しっかり体にいいものを食べてるな」と、自然と心がほぐれていくようでした。

今回私たちが選んだのは、大人向けの8,000円のコース料理。(農園コース)メインの豚肉料理は、+2,000円で牛肉に変更することもできます。
私たちは記念日ということもあり、少し贅沢に牛肉をチョイスしました。

丁寧に火入れされた柔らかいお肉と、ほんのり甘みのあるソース、新鮮な季節野菜のグリルが美しく並んだプレートは、まるで芸術作品のようでした。

そして娘には、優しい味つけのトマトパスタを中心としたお子さま用コースを注文。
見た目も可愛らしく、大きさもちょうどよくて、「おいし〜!」と嬉しそうにフォークを動かしながら、ぺろりと完食していました。

何より印象的だったのは、スタッフの方々のあたたかさ
「お子さまのイスの高さは大丈夫ですか?」「お料理は少し早めにお出ししましょうか?」と、こちらが言う前に気づいて声をかけてくださる気配りに、「ここを選んでよかったな」と心から感じました。

静かでゆるやかに時間が流れる店内。目の前の食事と、隣にいる家族に感謝しながら、心から「幸せだな」と思えた夜でした。

NOUNIYELLは、“ごちそう”だけじゃなく、“穏やかな思い出”も提供してくれるお店でした。

🔗 NOUNIYELL(ノウニエール)ページはこちら

食事のあとは、お部屋のバルコニーから夜の景色をゆったりと堪能。

山に向かってのびる光の演出が幻想的で、まるで別世界にいるような時間でした。
その日は、グッスリと眠れたことは言うまでもありません。

朝の散歩、大浴場、そしてパンの朝食。心と体が満ちていく、極上の朝時間

二日目の旅の朝は、前日の大雨が嘘のように晴れ、静かでやわらかな空気が辺りを包んでいました。「せっかくだから少し歩いてみよう」と、家族で早朝の散歩へ。

VISONの敷地内は広く、自然が美しく、朝の光が木々のあいだから差し込む様子は、まるで映画のワンシーンのよう。静けさの中に聞こえる鳥の声や風の音。歩いているだけなのに、不思議と「満たされている」と感じられる時間でした。
娘はまだ寝起きでぼんやりしていましたが、それもまた、旅先のやわらかな時間の一部のように感じられて、なんとも愛おしいひとときでした。

散歩のあとは、楽しみにしていた朝風呂へ。

VISONの大浴場は、夜0時まで利用可能で、サウナは22時まで。前夜も入ったサウナと水風呂の組み合わせがとても気持ちよく、朝風呂もぜひもう一度体験したくなっていました。

露天風呂に浸かりながら、澄んだ空と森の景色を眺める朝のひとときは、まさに「整う」という感覚。
ゆっくりと深呼吸をしながら、心も体もすっと軽くなるようで、「こんなに穏やかな朝は、いつぶりだろう」と感じました。
日々の忙しさで見失いがちな“自分のリズム”を、取り戻すことができたような気がします。

そして朝食は、施設内にあるパン屋「Mariage de Farine」へ。

大人2人で、焼きたてのパン10種類から好きなものを選ぶスタイルで、ひとつひとつが丁寧に作られていて、どれも本当に美味しい。ハード系から甘い系、惣菜系までバリエーションも豊かで、シェアしながら「これも美味しいね」「これ、好きかも」と会話も弾みました。

朝の静けさの中で、おいしいパンをゆっくり味わいながら迎える時間。ただそれだけなのに、とても贅沢で、心がほっと温まる朝食でした。 Mariage de Farine ページはこちら

おわりに

たった一泊二日の旅だったのに、こんなにも心が満たされている・・・。
家族で大好きな場所をめぐり、笑って、ちょっと疲れて、でも「やっぱり来てよかったね」と言い合える時間は、何ものにも代えがたい宝物になりました。

妊娠中の妻も、イヤイヤ期まっさかりの娘も、そして日々忙しく働く私自身も。
それぞれの立場で、それぞれのペースで楽しめる場所だったからこそ、誰ひとり無理をせず、自然体で過ごせた気がします。

鳥羽水族館のやさしい展示や、VISONの心地よい空気。そこに流れる“おもてなし”の温度が、私たち家族にぴったりと寄り添ってくれていたように思います。

これから旅行を計画される方にとって、ほんの少しでも参考になれば嬉しいです。
大切な人との時間が、あたたかく、やわらかく、心に残るものとなりますように。